神亀雖寿 神のごとき亀は寿(いのちながし)と雖(いえど)も
猶有竟時 なお竟(おわ)る時有り
騰蛇乗霧 騰(のぼ)る蛇は霧に乗れど
終為土灰 終(つい)には土灰と為る
驥老伏櫪 老いたる驥(うま)(※名馬)は櫪(うまや)に伏すとも
志在千里 志(こころざし)は千里に在り
烈士暮年 烈士(れっし)は暮年にも
壮心不已 壮心已(とどめ)あえず
盈縮之期 盈(なが)きと縮(みじか)きの期(さだめ)は
不但在天 但(た)だ天のみにあらず
養怡之福 怡(よろこび)を養い福に之(ゆ)けば
可得永年 永き年を得(う)べきなり
幸甚至哉 幸は甚(はなは)だしく至れる哉(かな)
歌以詠志 歌いて以(もっ)て志を詠(よ)まん
-----
曹操が書いたとされる詩。
神のように長く生きる亀ですら、いつかは死ぬ
天駆けるような蛇であっても、いつかは土くれとなる
駿馬は老いてしまっていても、志は千里の彼方に在り
自分の信念を持って生きる人は、歳を取っても大志が無くなる事はない
人の命は、天のみぞ知るものであるが
生きる喜びを知り、幸せに暮らすことができれば長生きできるものだ
なんと幸せであることか
(私には志が在り、それを追い求めることが幸せであるのだから)
-----
「歩みて夏門を出ずる行」に思う。
不変な物事というものは無い。
けれども「不変でいる」ということはできる。
それは、いつまでも志を追い続けるというように、
「自分の想いを」想い続けることが、不変でいるということだと思う。
永く、変わらずにいること。
それはどれだけ難しいことか。
できればその想いは、幸せを願う想いでありたい。
いつまでも、この心に在る、幸せを。
千里の彼方に視え得るそれを、
いつか逝く時も、何より、今日も感じ続けていたい。